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競技専念型アスリート雇用の長内 智選手インタビュー

2017年、トルコで行われたデフリンピックにデフ陸上400m日本代表として出場した長内智選手。2019年8月、競技専念型アスリート雇用にて、IMAGICA Lab.に入社した。今年香港で行われるアジア大会にも出場する長内がめざす2021年デフリンピックへの想い。IMAGICA Lab.で実現したいことを聞いた。

——100mで10秒を切る選手が何人も出るなど、近年、陸上が人気です。デフリンピックについてはいかがでしょうか

ほとんどの方が、パラリンピックの種目に聴覚障害が含まれていると思われているのではないでしょうか。元々は一緒の団体でしたが、現在は、パラリンピックとデフリンピックは別々のものです。2020年、東京パラリンピックがありますので、それをきっかけに、聴覚障害は別の大会なんだということを我々が発信していく必要があると思っています。競技結果の報告や講演、指導教室などさまざまな形で、デフリンピックの知名度を上げる活動がこれから必要だと感じています。

——デフ陸上の難しさ、面白さを教えてください

デフリンピックには、補聴器をはずして競技するというルールがあります。私も日常的には普通にコミュニケーションをとることはできるのですが、補聴器をはずしてしまうと、全く何も聞こえない世界になってしまうんです。もし、何も聞こえない状態で、健常者の試合に出たら、スタートの合図は聞こえないし、運営の流れがわからなかったり、審判とのコミュニケーションがとれないなど、色々大変な部分があると思います。デフリンピックは、スタートするときはスタートランプといって、光の合図でスタートします。また、国際手話というものがありまして、手話で運営者や審判とのコミュニケーションをとったりすることもできるのです。
これは個人としての感じ方ですが、ふだん補聴器で聞こえているときは無意識に走るときの足のリズムを感じていると思うんです。でも、いざ、はずしてみると、リズムがとれなくなってしまって、走りが崩れてしまったことがあったんです。例えば、人が歌うときは、曲のリズムや音に合わせて歌うと思うのですが、曲(音)が流れないままアカペラで歌うのって、ちょっと難しいですよね。それに近いですかね。
 普段の練習では、はじめは補聴器をつけておいて、リズムを身体に染み込ませます。その後、補聴器をはずして練習することで、染み込ませたリズムを呼び戻す。そうすることで、いざ、本番で補聴器をはずしたときでも、きちんとリズムをとりながら走ることができるようになります。自分の力を最大限発揮できるよう、普段の練習からそうした工夫はしていますね。

——2017年には、トルコで行われたデフリンピックに出場されました。そこで得たものは何ですか

 実はデフリンピックに出る4年前の段階(2013年)では、私もデフリンピックの存在を知らなかったんです。でもデフリンピックの存在を知ってからは、4年後(2017年)を目標にして走り出しました。出場するために4年間走り続けて、手にした出場権。そこでの目標は、決勝進出とメダルを獲ることでした。みなさんに注目してもらい、デフリンピックの知名度を上げるためにメダルを目指しました。結果は400m準決勝で敗退でした。実はデフリンピックに行く前に怪我をしてしまい、思うようなレースができなかった。なので、本当に、負けた悔しさしか覚えていません。怪我をしてしまったというのは、自己責任ですし、自分のコンディショニング調整不足でもあるので。
でも、そういう経験があったからこそ、再び4年後の2021年のデフリンピックを目指そうと思いましたし、聴覚障害をもった子どもたちに夢を与えられるように、また、4年間、走ろうという気持ちにはなれました。
 2017年の大会は色々と学ぶことも多かった大会でしたね。手話って、ジェスチャーに近いものなので、国ごとに違ってはくるのですが、似た手話もあるので、ある程度はコミュニケーションがとれるんです。様々な国のアスリートと交流することも出来、それによってそれぞれの国の文化を学ぶこともできました。

——今年2019年、香港で行われるアジア大会にも出場されますね

800mで出場します。長期的な目標としては2021年、デフリンピックでメダルをとることなので、まずはアジアで勝てないと世界では勝てないので、アジア大会で優勝を目指していきたいと思いますね。トルコのデフリンピック400mでの悔しさを晴らして、決勝に行きたいと思います。
4×100mリレーにも出場予定です。月に1、2回はメンバーで集まって、手話でコミュニケーションをとりながら、お互いのタイミングが合うように、練習に取り組んでいますね。リレーでのデフリンピックと健常者の大会と違うのは、健常者はバトンを渡すときに、「はい」と掛け声を出してタイミングを合わせるのですが、デフリンピックのルールとして、補聴器をはずさないといけないので、何も聞こえない状態です。掛け声も何も聞こえません。なので、歩数をカウントして覚えたり、相手のスピードのタイミングに合わせてバトンを渡さないといけない。より高度な技術が必要ですし、コミュニケーションも必要になってくると思います。日本の陸上はバトンパスの技術が非常に高く、私たちも難しいと言われるアンダートスを採用しています。もし、走るとなれば私はアンカーの予定です。みんなからのバトンを受けとってゴールに向けてひたすら走り切ろうと思っています。

——IMAGICA Lab.に入社されることで、プラスになることはなんでしょうか

IMAGICA Lab.への印象は映像の会社というイメージが強いです。デフリンピックの知名度を上げるには映像の力は不可欠だと思います。映像の力を借りて私がロールモデルとなって、デフリンピックの魅力を発信して知名度を上げていけたらいいなあと思います。
こうした雇用制度(競技者専念型アスリート雇用)のメリットは、競技一本で活動できるということですし、競技者としてはすごく可能性が広くなったと感じています。デフアスリートとして活動することで、子どもたちに夢を与えることも出来ますし、これから会社の皆さんと一緒に色々な経験をしていくことで、様々な人たちとのつながりをつくっていくことができればいいなと思います。個人的にはチャレンジャーとして、世界に挑戦していきたいと考えているので、一人じゃないんだ、会社の皆さんと一緒に戦っていけるんだ、と思うと、これからの競技人生がとても楽しみです。

——デフ陸上におけることも含め、これからやっていきたいことは何ですか

最近は学校から依頼が来て講演などもしています。講演ではデフリンピックとは何なのか、障害とは何なのか、障害とは一人一人の個性である、ということを伝えています。これから、こうした講演を続けながら、もっと子どもたちに向けたイベントなども開いていきたいですね。視聴覚に障害をもつ子どもたちが夢を持てるようにしていきたいなと考えています。

IMAGICA Lab.の理念には「映像でつなぐ 映像がつなぐ」というフレーズがある。こうした競技専念型アスリート雇用を通して、IMAGICA Lab.はアスリートの人たちの前向きに進む姿を、世の中に発信してまいります。
未来の映像コミュニケーションカンパニーを目指して。

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