「⽇メコン交流年 ⽇ミャンマークラシック映画共同上映及び映画 ⼈等交流事業」ミャンマー観光親善大使・森崎ウィンさんスペシャルインタビュー

森崎ウィン

——森崎さんはミャンマー出身で、現在は日本とミャンマーで活動中で、昨年からミャンマー観光親善大使にも任命されています。
任命式の際に「日本の若い世代にミャンマーの魅力を伝えたい」とおっしゃっていましたが、来年はミャンマー映画生誕100年となります。
このプロジェクトは、ミャンマーの映画産業・文化の発展に力になりたいと考えてスタートしているのですが、こうした取り組みについてどう考えられますか?

僕にとってエンタテイメントと出会わせてくれたのが日本なんです。その日本で、僕の母国であるミャンマーのエンタテイメント向上を目指して、こうした共同事業が行われることには、僕としてはとても嬉しく光栄に思っています。そして今、こうしてエンタテイメント業界で一人のエンターテイナーとして活動できていられるのは本当にラッキーであり、幸せだなと感じています。

——10月26日に1935年に日本とミャンマー合作で制作された『日本の娘』の上映会が実施されます。
  作品をご覧になっていかがでしたか?

実は、全く知らなかったんです。そんな昔に日本とミャンマーで合作がすでに作られていたなんて、本当に驚きました。
僕、実はモノクロ映画をあまり観たことがなくて、観る機会もそんなになかったので、今回とても新鮮に観ることができました。こんな昔に日本とミャンマーの合作が作られていて、さらに両国の文化が垣間見える作品として存在していたということに感動しました。 内容的にも遠目でハグしているシーンとか、当時、どうやって撮影したのかなあと思ったり、料亭に行った際に靴を脱いで屋内に上がるシーンで、靴をなおすところだけをアップで撮影することで、日本の文化をミャンマーの人たちにちゃんと伝えようとしていたり、主人公のミャンマー人の兄がお酒を飲まないという設定を入れて、ミャンマーの仏教感を表現したりと、観ていてとても面白かったです。日本とミャンマーのそれぞれの良さを再認識させてくれる作品でした。

森崎ウィン

——80年以上前にすでに日本とミャンマーで合作で映画が制作されていた事実について、
  今現在、日本とミャンマーの映像業界で活躍されている森崎さんはどうお感じになりますか?

僕、飛行機が大好きなので、この作品のテーマも含めて、当時、こういう作品が作られていた事実に縁を感じつつ、演じる側の人間としては、当時の撮影現場ってどうだったんだろうなあと想像しちゃいました。
実は僕も日本とミャンマーの合作映画『マイ・カントリー マイ・ホーム』(2018)に出演させていただいたのですが、やはり現場ではお互い、それぞれ作品の作り方が違っている部分もありました。どちらが良いとか悪いということではなく、お互いの考え方を主張したり、共有したりしながら作品作りをする現場に初めて参加したので、正直大変だなあと思ったのですが、1935年にすでにそういう作品作りをしていたのにびっくりしましたし、作品自身も目が離せないようなシーンがたくさんあって、そういう作品が作られていたことが僕にとっては驚きでした。

——この事業は、今年の7月から日本のクラシック映画を月例上映会と称し、ミャンマーで上映しています。
  すでに数回実施しているのですが、ミャンマーの熱心な映像ファンの方に支持されています。
  森崎さんご自身、こうした日本のクラシック映画をミャンマーで上映することについてはどう思われますか?

ミャンマーでは、今、TVでNHKの『おしん』が放映されているのですが、そのこと自体も僕にとってはとても驚きなのですが、 僕が仕事でミャンマーに行くと映像ファンの人や映画関係者ではない普通のミャンマーの人たちに、「『おしん』見たよ」とか「(『おしん』を制作した)日本から来たんでしょ」と言われることが多いのです。僕が思っている以上に、ミャンマーの普通の人たちの生活の中に日本の作品が溶け込んでいるんだなあと嬉しく思っています。
ですので、今回のこの取り組みは、ミャンマーの映画人や日本映画が好きな人だけでなく、一般の人たちにも日本のクラシック映画の魅力が伝わっていくのではないかなあと思いますし、嬉しいですね。
異国の文化をこうした上映会を通して身近に感じてもらえるというのは、良いなあと。
今は、ネット社会で、映像をネットでも観ることは出来ますが、劇場にわざわざ出向いて、あえて今の映画ではなくこうしたクラシック映画を観るというのは、とても良い取り組みだと思いますし、僕も帰ったときにやっていたらぜひ足を運びたいと思いました。

森崎ウィン

——来年3月には日ミャンマークラシック映画祭を予定しています。
  今回、日本では10月26日に上映会が実施されますが、ミャンマーではこの映画祭で上映予定です。
 こうした事業について、ミャンマーの若い方たちはどういった反応があると思いますか?

ミャンマーでは映画館に行くということはやはり特別な空間に行くという意味を持ちますし、今、映画館の上映作品がずっと先まで決まっていたり、とても熱気があるんです。
今はまだ、僕と同じくらいの若い人たちからは日本のクラシック映画についての話は聞かれたことはないですが、こうした事業を進めていくことで、きっと若い人たちからも日本のクラシック映画についての話が出てくるのかなと思います。

——森崎さん自身は、日本のクラシック映画でお好きなものなどありますか?

実はあまり観たことがないんです。だから僕も勉強を兼ねて観たいなあと思っています。
『レディ・プレイヤー1』(2018)に出演する際に監督(スティーヴン・スピルバーグ)から「七人の侍」の三船敏郎さんのようなキャラクターを、というオファーがあって、作品を観たのですが、まだちゃんと日本のクラシック映画に向き合えていないので、この機会にミャンマーの一般のお客さんと一緒に、触れていきたいなと思います。

——この事業は日本とミャンマーの映画関係機関を連携させ、   映画分野おける交流・協力事業をもっと実施していきたいというためのものでもあります。
  日本とミャンマーの映像業界で活躍される森崎さんから見て、今後どんなことが重要だと思われますか?

僕自身、確かにミャンマーの観光親善大使もやらせていただいていますし、最近、やっと日本の大きな映画作品にも参加させていただけるようになってきました。『レディ・プレイヤー1』にも出演できましたが、まだまだ映画人、役者としては駆け出しなので、こうした事業に何かを言える立場ではないと思っています。僕ももっと勉強をしていかないといけない身だとも思っています。
ただ、国と国をつなぐ架け橋的な存在にはなりたいと、ずっと思っています。でもまだまだ今はなれていないとも。ミャンマーといえば森崎ウィンだよね、というところまではまだ至っていないので、もっと頑張らないとなと思っています。
なので、僕自身の成長のためにも日本とミャンマーの合作が増えていけば、まだまだ成長過程の僕も作品に出演することで、素敵な機会を頂きつつ、貢献していけるのかなと。
まずは、もっと日本とミャンマーの合作映画が増えると、僕も役者として輝ける場所を頂けるのかな、と思っています(笑)。

日本とミャンマーの映像の世界でお仕事をさせていただいていて感じるのは、やはり文化の違いというのは色々大変なことが多いということです。でも、作品を作っている映画人たちの思いというのは、どこの国に行っても変わらないとも僕は思います。言葉の壁を越えていけるのが、エンタテイメントだと僕は思っているので、作品を作っていくことで、国と国の懸け橋になれるのかなと思っています。
僕も頑張っていくので、こういう事業はぜひもっといろいろやっていってほしいと思います。

——日本ではまだミャンマーの魅力をご存知ない方も多いと思います。ぜひ、森崎さんからミャンマーの魅力を最後にお願いします。

僕自身も思うことですし、ミャンマーに仕事で行く僕のスタッフたちも言っていることなのですが、ミャンマー人は笑顔が多い、のが魅力の一つです。いい意味でミャンマー人ってせかせかしていないんですよね。知らない人に対してもフレンドリーですし。クラクション鳴らす回数は多いんですけどね(笑)。渋滞が多いんで。国としてはまだ発展途上国ですが、古き良き日本のイメージもあって、発展途上だからこそ、今の新しいものと昔のものが共存しています。ぜひ、ミャンマーの人の暖かさ、明るさに触れてみてください。

森崎ウィン

———–
ユネスコ「世界視聴覚遺産の日」記念特別イベント
『日本の娘』デジタル復元版 上映会

2019年10月26日(土)12:00pm~、4:00pm~
 トークイベント 1:50pm-
*12:00pmの回は上映前に約15分程、来賓挨拶があります。一部関係者席となりますこと御了承ください。

会場:国立映画アーカイブ【2階】長瀬記念ホール OZU
定員:310名(各回入替制・全席自由席)
主催:文化庁、国立映画アーカイブ(https://www.nfaj.go.jp/

https://www.imagicalab.co.jp/news/20190718/

森崎ウィン